プロフェッショナル仕事の流儀 虐待を考えるキャンペーン 高橋亜美 (後編)
(中編のつづき)
ある朝 電話で会うことになった初対面の女性。
まだあどけなさが残る。
父親から殴る蹴るなど暴行をうけて育った彼女は
更生施設で暮らしている。
女「水とか。水音きこえるだけでパニクったり
とか。だから洗濯機すら回せない。
色々なトラウマがあったりして。過呼吸になって
救急搬送される」
高橋「そっかそっか。ちょっと長期で入院して
みたら?」
女性「長期 (入院) が向いてないって言われて。
じっとしていられないから そもそも。
看護師に当たっちゃったり、うちが 」
高橋「当たっちゃったりー。メッセージにくれてた
けど困ってるの彼氏との関係ね」
女「うん。彼氏が避妊してくれないから妊娠したら
どうしようってのがある」
高橋「それはねー 体にも負担だし心にも負担なこと
だから ” 避妊だけはして ”って言っていいよ、
言って」
女「今さらもう遅いよ」
入院や避妊。どのアドバイスも女性が受け入れる
ことは無かった。諦めにも近い人間不信を認めざる
をおえなかった。
高橋「これだけの状況だから、すごく時間も
かかるし一つ一つってふうだけど、せっかく会えて
さ、私は出来ることは諦めたくないと思ってるよ」
女「私、その一言が嬉しい」
高橋「一つ伝えたいのは ” 避妊して ”って言って
ほしい。言っていい。それだけ言ってみて」
女「うん」
高橋「ありがとね」
1時間の会話の後、彼女と別れた。
高橋「話してもこれはこれでムリだ、って全部
潰してしまう様な感じだったから そもそも人への
信頼がほぼほぼ無い人かなっていう… 結構久しぶり
に会った連絡はもう取れないかもしれない」
彼女からの連絡は途絶えたが、高橋は休日も
考え続けていた。
メール「電話をかけてみて。私からもかける。
あなたと話したい 」送信。
4日後、連絡があった。
女「病院来たよ」
その後、看護師とケンカ。
役所とも揉めて病院を出たという。
連絡くれたってことを一番大事にしたい。
頻繁に連絡が来るようになった。
(誰にでも安心の種はある)
高橋「あるはずなんだよね。安心の種とか源。
その人の中に。ニョキニョキと出てくる為に色んな
やり取り、会ってお茶するのもそうだし
積み重ねの中で安心が生まれてくるっていうの
かな ” あったあった ”って出てくる」
高橋は施設を探し続けていた。
女性は一旦実家に戻ったが再び暴力にあい、
そこも飛び出していた。
高橋「痛みない?お腹蹴られたっていうのは。
良かった。それも聞いて心配だったけど、やる事
やってくから。でも、ちょっと会いたいな。
会いにいくからいい?」
この関係を大事にしながら進めていく。
高橋「重ねてかないと変化も何も起きないからね。
ここでゴールとか終わりじゃない。
ずっと続いていく。道のりは長いと思わない、
続くって感じ」
絶対諦めない。2週間後。
入所希望者の数に比べて絶対数が足りてなく難航
した自立援助ホームが見つかった。
全国に約100ヵ所。一つ一つ、つてを求め頼んで
いった。
(プロフェッショナルとは)
自分が、自分の気持ちに正直に生きていくことで
見つけた大切な気持ちを、自分が信じ続けること。
file421 「 虐待・貧困支援 高橋亜美 」
苦しい時も一緒に、だから…
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YouTubeチャンネル
「THREE FLAG - 希望の狼煙」
児童養護施設で育った3人が、福祉関連のことを
面白く発信する番組。
・虐待の線引き
・京都の居場所事業 アフターケアの会 メヌエット
・里親出身者の声
・子どもアドボカシー
・児童養護施設の職員さんに 聞いてみよう
など。
pixabay :shanghaistoneman