珍道中☆ハイヤーセルフと二人づれ

好きなコトバは『他力本願』 四国在住のアラフィフ。ハイヤーセルフ♪目に見えない存在と共に歩める幸せに どっぷり浸っています。珍道中になるであろう私の体験キロク。見てくださる方の心が軽~くなるような ブログにしたいです♪

プロフェッショナル仕事の流儀 虐待を考えるキャンペーン 高橋亜美 (前編)

アフターケア団体代表。
高橋亜美(46)  虐待・貧困支援

 

児童虐待の相談件数が、過去最高値を更新する中、
大人になってなお、かつて受けた傷に
苦しむ人がいる。

 

傷を受けた人の、その後の人生を支える
アフターケアの第一人者。

 

彼女が所長を務める「ゆずりは」は年間3万件を
越える相談が、全国から来る。

 

トラウマから精神疾患などを発症。
親や家族にも頼れず孤独にさいなまれ自殺に
追い込まれる。

 

児童養護施設にいた頃は生活が保証されていたが
大人になり退所したあと、困難が待ち受けている
ことは、あまり知られていない。

 

高橋は、相談にのる・役所や病院に付き添うなど
自立に必要な支援を行う。
費用は無料。

 

ある日の相談者は18歳まで虐待を受けていた
女性(19) 気軽にお店で食べながら話す。

 

虐待を受けてフラッシュバックで過呼吸を起こす。
人が信じられない。

 

高橋「クスリって何種類飲んでるの?」
女「クスリ自体は8。精神の1日1錠なんですけど
2錠飲んでて」

 

高橋「あー、ちょっと多めに飲んでる」

 

女「それでも突然、感情…何も思ってなかったのに
涙が出てきたり苦しくなったり…親権者が暴力
振るってて…」

 

父親から顔や体を殴られる虐待を日常的に
受けてきた。

 

家を離れ、働き始めたものの虐待からくる
対人恐怖症に苦しみ仕事を止めざるを えなかった。

 

現在、痛みを伴う難病を患っており生活も
ままならない。
相談は引っ越しについて。

 

女「夜中、小動物が走り回るようなダダダダダ、
バタバタバタみたいなのが聞こえたり どんどん
気になって」

 

費用を捻出する余裕はなく、行政の支援を仰ぎ
たいが対人恐怖症で窓口での手続きができない。

 

国は貧困、DV、自己破産などの困難に直面する
人にセーフティネットをもうけている。
 
だが、この女性のように窓口へ行けない人もいれば
支援があるのを知らない人もいる。

 

高橋は、実際に部屋を見たのち
一緒に役所を訪ねた。

 

高橋「居住空間を生活保護の中で保証してほしい。
転居費用を出して下さいませんか?」

 

職員の腰は重かったが本人が訴えだすと、流れは
変わり支援を得られる事になった。

 

自分の力で出来たことは力になる。
何よりも自信に繋がる。

 

相談事を叶えればサヨナラ、
そんな支援はしたくないと高橋。
自らの力で生きられるまで見届けること。

 

役所訪問から2週間。女性のアパートを訪ねた。
高橋「フラッシュバックとか無い?」
女性は過去のイジメを語り始めた。
 

 

女「この前、泣いた。  プールに頭ガーッてされて
自力で起き上がれない ようにされた事もあったし
乾燥機に入れられた事もあったし” あー 死ぬんだ
ろうな ”って死を覚悟した事もあって 」

 

 

高橋は、ずっと手を擦って聞いている。
高橋「嫌やったって言っていいよ。怖かったと
言っていいよ」

 

女性 泣く。
高橋「怖かったって(誰にも)言ってないやろ」
女「うん」

 

高橋「水の中に突っ込まれたら 死ぬような事
されたら怖いに決まっとるやん」

 

溜め込んできた想いを、あえて言葉にして吐き
出させる。

 

 

高橋「○○ちゃんの中にある、いっぱい我慢して
きた事とか苦しかった事を(私に)話す。
思い出した時に言葉にして出すって事は、
ただただ 苦しいだけの ものじゃ無くなると思うん
だよね。

 

苦しみを大切にするって事。
自分の一部ってこと。
それも又 自分の一生懸命生きてきた証って
思えた方が、ちょっと楽になるかなっていう…
失くせない。その苦しみは。
だけど受け止め方や向き合い方が変わるだけで
排除しなきゃいけないものじゃ無くなるっていう
か… 」

 

 

女「直したいと思う所があって” 態度がウザイ ”
って何度も暴力振るわれたり… ” 何で怒られて
るんだろう ” ってパニックになるっていうか。

 

でも どんなに意識しても直せなくて。
” 死にたい ” が口ぐせになってた一番その時。
頼れる人も居ないなって思うようになって 」

 

2人は ずっと手を繋いでいた。
女性は暴力を振るわれるのは自分が悪いからだと
思い込んでいた。 自らを責めてきた。

 

高橋「生き延びていく為に、自分が悪いから
殴られるんだとか、殴られてもしょうがないって
思わないと乗り越えられないって あるかもしれな
い。生きてく為に自分を責めてきたって思うね …
それは自分のこと、大切に出来なくなっちゃう
事だからね」

 

女「うん」
高橋「責めなくていいんだっていう …
今日始まりがあって 少しづつやっていこう。
また(話し)聞かせてほしい。スッキリした?」

 

話し終えたとき、女性の顔は少しだけ ほころんだ。

 

密着1ヶ月。高橋が相談所に居ることは、
ほとんど なかった。

 

次から次へ相談者の元へ。
移動中も ひっきりなしに相談が舞い込む。
タクシーの中でもPCを打つ。
 
電話相手「私、生きてても いいんですよね」
高橋「いいに決まってるじゃん。何で?
生きてこれた だけでもスゴイ事だっていうの」

 

こうした支援は、窓口に来てもらうのが一般的。
しかし、来られない人にこそ手厚い支援が必要だ。

 

この日。筆舌しがたい虐待を受けていた女性の
通院に付き添った。

 

女「そばに居てくれるだけで、っていうのが私の中
にはありますね。心強いですよね 本当に」

 

高橋「まじ?楽しい話しもするしね  ^  ^
トランポリンとか行かされたから」

 

女「そうそう、めちゃ楽しかった」
大切にするのは、何気ない時間。

 

高橋「一般的にいわれる支援とか寄り添いの度を
越えたといわれても仕方ない事はある。
けど境界線を越えた時に、安心が芽生えたり
今まで話せなかった事も話せるだとかに繋がる
かなと思う。思い込みだらけだよねって思う。

 

想像を絶するような苦しい想いを強いられてきた
訳だから、その人達の当たり前って 全く別物
だったりする。
社会に出た後に、失敗しない・間違わない・
立ち止まらないようにとか、そういう支援じゃ
無くて失敗しても立ち止まっても大丈夫。
一人で抱え込まずに、解決しようとせずに
まず助けてって言ってほしいな。
状況を変えるために何が出きるかを一緒に
考えたい。一緒にやりたい。
 
ゴールは別に無くてもいい。回復する事とか
元気に笑顔になる事が、私にとっても嬉しくて
喜び。関わるっていった時、一生だ!ぐらいの
想いがあるから。
ムリしてここに居たり、やってる自分に気づいたら
それは辞めた方がいい。この仕事を私は出来ない
とは思う。」

 

                                                  (中編へ続く)

 

f:id:origimal-jamp:20200517165656j:image